著者:諸田 玲子
単行本でのタイトルは『あくじゃれ瓢六』。
文庫本では『あくじゃれ-瓢六捕物帖』に少しばかりタイトルが変わりました。
本作はシリーズ化しており、2012年4月2日現在、以下の続編が出版されています。
『こんちき - あくじゃれ瓢六捕物帖』
『べっぴん - あくじゃれ瓢六捕物帖』
また、今日現在、オール読物で続編が連載中でもあります。
娯楽作品としての時代小説に大切なのは、魅力的な登場人物。
その点、このシリーズに登場するメンバーは、誰もが個性的で魅力的。
眉目秀麗かつ博覧強記な色男の主人公の瓢六。
瓢六の情女で、ちゃきちゃきの江戸っ子芸者のお袖。
いつの間にか瓢六の親友となった町方同心の弥左衛門、等など。
個性的で魅力的な登場人物たちが繰り広げるストーリーは、少しばかり奇想天外。
博打の咎で入牢した瓢六が、北町奉行所与力・菅野の手駒となり、牢屋敷と娑婆を行ったり来たり。
ありえない設定であるからこそ、見えてくる人間の姿があります。
本書が単なる奇想天外な娯楽小説に終わらず、「時代小説」となっているのは、牢屋敷(筆者は「地獄」と表現)に暮らす人々の姿を通して、筆者の真の人間の姿を描こうとする姿勢が伝わるからに感じます。
魅力的な登場人物に、ユーモア溢れる筆致。
軽く見えながらも、どこかにしっかりとした重みの感じられる、一風変わった時代小説。
諸田玲子氏の個性溢れるシリーズものです。
時代小説に馴染みのない方でも、素直に楽しむことができる作品だと思います。
あくじゃれ―瓢六捕物帖 (文春文庫)
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